社内で生成AIの研修をやろう、という話になった。
いくつか会社を調べてみると、どこも「実践的」「分かりやすい」「現場ですぐ使える」と書いてある。
資料も似たような構成で、比較のしようがない。

これは珍しいことではありません。研修の説明文は言葉が似通いやすく、
実際に受けてみるまで中身の違いが分からないという相談をよく受けます。

この記事は、契約する前に確認しておくと違いが見えてくる5つの観点の話です。
特定の会社を良い・悪いと評価するものではなく、
何を聞けば中身が分かるかを先に持っておくための基準です。

なぜ資料だけでは判断できないのか

研修の説明資料は、多くの場合「何を教えるか」の一覧で構成されています。
基本操作、指示の出し方、活用事例、といった項目名は、
どの会社の資料を見てもほとんど同じ言葉になります。

違いが出るのは、項目名ではなくその項目をどこまで深く扱うかです。
「指示の出し方を教えます」という一行の裏に、
一般的な例文を紹介するだけの研修もあれば、
参加者自身の業務を持ち込んで指示文を作らせるところまでやる研修もあります。
資料の項目名を比較しても、この違いは見えません。

だから、資料を読むだけで決めるのではなく、
問い合わせの段階でいくつか具体的に聞く必要があります。
以下の5つは、その質問に使える観点です。

決める前に確認したい5つの観点

1. 対象者のリテラシーに合わせて設計されているか

生成AIに触れたことがない人と、すでに個人で使っている人では、
研修で必要な内容がまったく違います。

一律の内容を全員に同じペースで進める研修だと、
初心者は置いていかれ、経験者は退屈するということが起こります。
問い合わせの段階で「参加者の現在の利用状況をどう聞くか」を確認すると、
研修が対象者に合わせて設計されているかが分かります。
聞かずに標準プログラムをそのまま当てはめる会社は、
参加者の幅が広い組織では合わない可能性があります。

2. 自社の業務を使った演習があるか

一般的な例文やサンプル資料を使った演習だけで終わる研修は、
「やり方は分かったが、自分の仕事のどこで使うかは分からない」という状態を作りやすくなります。

確認したいのは、演習の題材に自社の実際の業務(メールの下書き、議事録、案内文など)を持ち込めるかです。
持ち込める研修は、その場で「明日から使える形」まで作って持ち帰れます。
持ち込めない研修は、機能の紹介で終わりやすくなります。

3. 「見る・直す」まで扱っているか

生成AIの研修は、指示の出し方までで終わっているものが少なくありません。
しかし、出てきた文章は読みやすく自信ありげに見えるため、
間違っていても気づかずに使ってしまうという問題が、指示の出し方より先に起こります。

出力された内容をどう確認するか、事実と推測をどう見分けるか、
どこを直せば良いかまでプログラムに含まれているかを確認してください。
ここが抜けている研修は、業務に導入したあとに
「出てきたものをそのまま信じて使ってしまう」事故につながりやすくなります。

4. 研修後に何が手元に残るか

研修の場でできるようになったことが、翌週には忘れられているという状態は、
研修そのものの内容よりも、持ち帰るものが用意されているかどうかに左右されます。

その場の体験だけで終わる研修と、
自分が作った指示文や、自分の業務を整理したメモを持ち帰れる研修とでは、
研修後に現場で使われ続けるかが変わります。
「研修が終わったとき、参加者は何を持って帰るか」を、契約前に聞いておく価値があります。

5. 情報の扱い方針が研修に含まれているか

生成AIに何を入力してよいか、何を入力してはいけないかという判断は、
使い方の指導とは別に、最初に決めておく必要がある問題です。

顧客情報や契約書、個人が特定できる情報をどう扱うかという方針を
研修の中で扱っているかを確認してください。
機能の使い方だけを教えて、情報の扱いに触れない研修は、
現場で「便利だから」と機密情報を入力してしまうリスクを残したままになります。

避けたほうがよい研修の特徴

上の5つと裏表の関係になりますが、契約前に注意したい特徴を挙げておきます。
これは特定の会社を指すものではなく、避けたほうがよい研修の型です。

  • ツールの機能紹介だけで終わり、確認や修正の手順に触れない
  • 参加者の業務を聞かず、標準プログラムをそのまま当てはめる
  • 研修と名乗りながら、実質的にAI導入作業の代行が中心になっている
  • 受講後に「もう人の確認は不要」という前提で説明している

最後の項目は特に注意が必要です。生成AIの出力は、
どれだけ精度が上がっても人の確認を前提にする必要があります。
その前提を外して説明する研修は、業務に導入したあとの事故につながります。

5つの観点をそのまま使えるチェックリスト

問い合わせや打ち合わせの場で、そのまま聞いてみてください。

  1. 参加者の現在の利用状況を、どうやって把握しますか
  2. 演習に、自社の実際の業務を持ち込めますか
  3. 出力の確認や修正のやり方は、プログラムに含まれていますか
  4. 研修が終わったとき、参加者は何を持ち帰りますか
  5. 情報の入力方針について、研修の中で扱いますか

5つとも具体的に答えられる研修は、中身が設計されている可能性が高くなります。
逆に、どの質問にも「一般的にはこうです」という抽象的な答えしか返ってこない場合は、
標準プログラム以上のものが用意されていない可能性があります。

まとめ

  • 研修の説明資料は言葉が似通いやすく、項目名の比較だけでは中身の差が分からない
  • 対象者のレベル、自社業務での演習、確認と修正、持ち帰るもの、情報の扱い方針の5つを、契約前に具体的に確認する
  • 「もう人の確認は不要」という前提で説明する研修には注意する

No Work Labの生成AI研修・ワークショップでは、
まず参加者の現在の状況と、研修後に何ができるようになりたいかを確認するところから始めています。
どの観点から相談すればよいか自体で迷ったときは、
お問い合わせから状況をお聞かせください。

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