店舗として使えそうな物件が見つかると、多くの人はそこで安心してしまいます。
場所も広さも希望どおり、家賃も予算内。あとは契約するだけ。
ただ、実際に困りごとが出るのは契約の後です。
「更新できると思っていたのに数年で出ることになった」
「退去時にここまで戻すとは聞いていなかった」――
こうした食い違いの多くは、物件選びの失敗ではなく、
契約書に何が書いてあるかを確認しないまま進めたことが原因です。
この記事は、物件が見つかったあと、契約書にサインする前に
確認しておきたい5つの項目の話です。契約書の読み方一般ではなく、
店舗として使う場合に特に効いてくる点に絞っています。
なぜ「良い物件が見つかった」で安心してしまうのか
物件探しは、条件に合うものが見つかるまでが大変な作業です。
場所、広さ、家賃、そして店舗として使える物件かどうか。
候補が絞られてくると、ようやく見つかったという安心感のほうが先に立ち、
契約書の細部を確認する前に話を進めたくなります。
契約書自体は不動産会社が用意するもので、専門用語も多く、
「大きな問題があれば向こうから説明してくれるはず」と考えがちです。
しかし、契約条件は物件ごと・貸主ごとに異なり、
店舗としての使い方に関わる部分ほど、聞かなければ説明されないことがあります。
条件を比べる段階ではなく、契約書を読む段階でもう一度確認する。
そのための5つの項目です。
契約前に確認したい5つの項目
1. 契約形態と更新の有無
賃貸借契約には、更新を前提とした契約と、
あらかじめ決めた期間で終了する契約があり、扱いが大きく異なります。
更新を前提としない契約の場合、事業を続けるつもりでいても、
契約期間が終われば物件を明け渡す必要が出てきます。
先に確認すること:契約が更新前提のものか、期間満了で終了するものかを確認する。
自分が事業を続けたいと考えている期間と、契約の仕組みが合っているかを照らし合わせる。
2. 用途として認められている使い方かどうか
物件によっては、住居として使う前提で貸し出されており、
店舗としての使用が想定されていない場合があります。
また、同じ「店舗可」でも、飲食店として火や水を使う業態、
不特定多数が出入りする業態など、業種によって必要な設備や手続きが変わってきます。
自分の業種でその物件を使えるかどうかは、間取りや家賃だけでは判断できません。
先に確認すること:自分の業種で使う前提であることを貸主・仲介会社に明確に伝えたうえで、
それでも契約できる物件かを確認する。判断が難しい点は、自治体の窓口や専門家に相談する。
3. スケルトン渡しか居抜きか、退去時にどこまで戻すか
内装が何もない状態で引き渡される物件と、
前のテナントの内装や設備が残ったまま引き渡される物件(居抜き)では、
開業までにかかる工事の範囲がまったく変わります。
同じくらい重要なのが、退去するときにどこまで元に戻す必要があるかです。
入居時の状態に戻すのか、スケルトンの状態まで戻すのかによって、
退去時の費用は大きく変わります。開業前に決めることですが、
確認していないと退去する段階になって初めて気づく項目です。
先に確認すること:入居時の内装の状態と、退去時にどこまで戻す必要があるかを、
契約前にどちらも確認する。
4. 見積書に載らない追加コストがないか
保証金・敷金・礼金といった契約書に明記される費用のほかに、
内装工事、給排水や電気容量の増設、看板の設置など、
業種によって発生する費用が別にあります。
これらは物件の契約条件ではなく、工事や設置の可否として確認する必要があります。
先に確認すること:契約書に載っている費用だけで開業できると思い込まず、
内装工事や設備の増設、看板の設置が可能か、追加でどんな費用が発生しうるかを、
契約前に不動産会社・工事業者へ確認する。
5. 契約者の名義と、途中で解約する場合の条件
個人事業主として契約するか、法人として契約するかで、
必要な書類や保証人・保証会社の条件が変わることがあります。
また、事業がうまくいかなかった場合や、規模を変える場合に
途中で解約できるか、その際に違約金が発生するかも、
始める前に確認しておきたい項目です。
先に確認すること:契約者名義をどちらにするかを事前に決めておく。
途中解約の条件(可否・予告期間・違約金の有無)を契約書で確認する。
5つをそのままチェックリストとして使う
契約前の最終確認として、そのまま使ってください。
- 契約は更新前提か、期間満了で終了するか
- 自分の業種での使用が認められている物件か
- スケルトン渡しか居抜きか、退去時にどこまで戻す必要があるか
- 契約書に載らない追加費用(内装・設備増設・看板)はないか
- 契約者名義をどちらにするか、途中解約の条件はどうなっているか
「仕事場のある家」でできること・できないこと
No Work Lab には、住まいと仕事場を一緒に考える相談窓口として
「仕事場のある家」という事業があります。
物件探しの段階から、上の5つのようにどこを確認すればいいか分からない状態を
一緒に整理し、対応できる提携先へおつなぎしています。
はっきりさせておきたいのは、No Work Lab 自身は不動産仲介や
賃貸借契約の締結を行わないということです。 契約書の内容確認や交渉、
法的な助言は、宅地建物取引士や弁護士など専門家の領域であり、
No Work Lab では行いません。
物件が見つかった段階でどこを確認すればいいか分からない、
あるいは物件を探す前の段階で止まっているときは、
空き家・空き店舗が「使える場所」になる前に詰まる5か所、
店舗と住まいを兼ねるかどうかで迷っているときは、
店舗兼住宅のメリット・デメリットより先に、決めておきたい4つの軸
も参考にしてください。
この記事のまとめ
店舗物件は、条件に合うものが見つかった時点で安心してしまいがちですが、
実際の食い違いは契約書の中身から生まれます。
契約形態、用途、原状回復の範囲、追加コスト、名義と解約条件の5つを、
サインする前に確認してください。
自分の場合はどこを確認すればいいか分からない、
あるいは住まいと仕事場を一緒に考える相談をしたいときは、
お問い合わせから相談を受け付けています。
