「空き家を活用したい」「空き店舗で何か始めたい」と思ったとき、
最初にやることは空き家バンクや不動産サイトを見に行くことだと思われがちです。

ただ、実際に止まっている人の多くは、そこにたどり着く前で止まっています。
物件は近所にある。持ち主も知っている。それでも動き出せない。

この記事は、「物件が見つからない」ではなく
「物件はあるのに市場に出てこない」という順序の話です。
探し方の記事ではなく、探す前に確認しておく5か所の話をします。

なぜ「探す」から始めると止まるのか

空き家・空き店舗の活用を紹介する記事の多くは、空き家バンクの使い方や
リノベーション事例から始まります。それ自体は間違っていません。

ただ、そこにまだ載っていない物件のほうが多いのが実情です。
持ち主が「使ってほしい」と思っていても、
相続や片付け、費用の見通しが立たないまま止まっている物件は、
そもそも一覧に出てきません。

つまり、探す側から見た「物件が少ない」問題の裏には、
持ち主側の「出せない」事情が先にあります。
使える場所を増やすには、探し方より先に、
なぜ市場に出てこないのかを知っておくほうが近道です。

関市の予算資料から見えた構造

No Work Lab は関市の令和8年度予算を1事業ずつ読み、
地域の課題候補を洗い出す調査をしました。

その中に、空き家の解体・耐震化・コーディネーター配置や、
商店街の空き店舗活用を支援する事業が並んでいました。
支援メニューがあること自体は、当初予算・補正予算の資料や
市の財政に関する公開資料から確認できます。

支援メニューが増えているということは、行政側も
「物件が市場に出てこない」ことを課題として認識しているということです。
この記事で挙げる5か所は、その調査で仮説として記録したものであり、
関市に固有の問題ではなく、多くの地域で共通して起きうる構造だと考えています。
思いつきの列挙ではなく、支援事業の並びから逆算した仮説である、という点だけ先に断っておきます。

詰まりやすい5か所

1. 相続 — 名義が今の持ち主のままになっていない

親や祖父母が住んでいた家を「実家」と呼んでいる時点で、
名義変更が終わっていないことがあります。
相続人が複数いる場合、全員の同意がないと売却も賃貸も進められません。

先に確認すること:登記簿を取り、名義が誰になっているかを確認する。
相続人が複数いるなら、活用について合意が取れているかを先に話しておく。

2. 荷物 — 「片付いたら」で止まっている

家財が残ったままの空き家は珍しくありません。
「片付けてから貸そう」と思っているうちに、片付けそのものが
大きな作業になり、着手できないまま年数だけが経ちます。

先に確認すること:全部を一度に片付けようとしない。
まず「貸す・売る前提で見せられる状態」まで、
どの部屋から手を付けるかだけを決める。

3. 改修費 — いくらかかるか分からないまま止まる

耐震性や設備の古さから、そのままでは貸せない・使えないと
判断されることがあります。ここで多くの人が、
概算すら分からないまま「たぶん高い」で検討を止めてしまいます。

先に確認すること:概算だけでも先に出す。
関市には耐震診断・耐震改修に関する支援事業があります。
金額や要件は年度で変わるため、この記事では具体額を書きません。
現時点の内容は市の窓口で確認してください。

4. 所有者調整 — 決める人が複数いる、または遠方にいる

持ち主が高齢だったり、遠方に住んでいたりすると、
現地を見に行くだけでも負担になります。
共有名義の場合は、活用の方向性そのものを家族内で合意する必要があります。

先に確認すること:誰が最終的に決められる立場にあるかを明確にする。
決める人が複数いるなら、活用するかどうかより先に、
「誰の合意が要るか」を確認しておく。

5. 収益性 — 貸せても続くかが読めない

改修して貸し出せる状態になっても、
家賃や維持費に見合う借り手が続くかどうかは別の問題です。
特に店舗として使う場合、集客や商圏の見立てがないまま
物件だけ整えてしまうと、貸せても続かない状態になります。

先に確認すること:改修より先に、誰に・何を提供する場所にするかを決める。
使い道が先、改修は後です。

「仕事場のある家」でできること・できないこと

No Work Lab には、住まいと仕事場を一緒に考える相談窓口として
仕事場のある家」という事業があります。
店舗付き住宅に関する情報提供や、住まいと仕事場を合わせた相談を受け、
対応できる提携先へおつなぎする窓口です。

ここではっきりさせておきたいのは、No Work Lab 自身は
建築・不動産仲介・売買や賃貸の契約を行わないということです。

設計や施工、契約の実務は、提携する専門事業者や、
物件の種類によっては市の窓口が担当します。

No Work Lab ができるのは、「何から確認すればいいか分からない」状態の人が、
上の5か所のどこで止まっているかを一緒に整理し、
必要な相談先につなぐところまでです。
相続や不動産の法的な助言、改修費の見積もりそのものは行いません。

No Work Lab がなぜこの4つの事業(ホームページ制作・デジタルマーケティング・
生成AI研修・仕事場のある家)に取り組んでいるかは、
社会課題への挑戦にまとめています。

この記事のまとめ

空き家・空き店舗の活用は、物件探しから始めると止まります。
先に確認するのは、次の5か所のどこで止まっているかです。

  1. 相続 — 名義は今の持ち主になっているか
  2. 荷物 — 一度に片付けようとしていないか
  3. 改修費 — 概算だけでも先に出したか
  4. 所有者調整 — 誰の合意が要るかを確認したか
  5. 収益性 — 使い道を改修より先に決めたか

自分の物件がどこで止まっているか分からない、
あるいは住まいと仕事場を一緒に考える相談をしたいときは、
お問い合わせから相談を受け付けています。

参考にした資料

  1. 当初予算・補正予算関市
  2. 市の財政関市

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