間取り図と写真を見て、良さそうだと思った物件の内見が決まった。
あとは実際に見に行って、雰囲気を確認するだけ――そう思って現地に向かう人が多いです。

ただ、内見で本当に確認すべきなのは「雰囲気」ではありません。
間取り図や写真には写らない、現地に立たないと分からない情報のほうです。
契約書の確認は物件を決めたあとの話ですが、この記事で扱うのはその手前、
内見の場でしか確かめられないことに絞った話です。

なぜ「良さそう」で内見が終わってしまうのか

不動産の掲載情報は、広さ・家賃・最寄り駅・間取りなど、数値や図面で表せる情報が中心です。
写真も、部屋を広く明るく見せる角度で撮られていることがほとんどです。

そのため内見に行くと、「思っていたとおりだ」という確認作業になりがちです。
図面と実物を照らし合わせて、ずれがなければ安心して帰ってしまう。

しかし、店舗として使う場合に問題になるのは、たいてい図面に載らない部分です。
電気の容量、水回りの状態、搬入経路、音や匂いの伝わり方――
これらは不動産の掲載情報にほとんど出てきません。
広さや家賃を確認するために内見に行くのではなく、
掲載情報に出てこない部分を確認するために内見に行く、という順番で考える必要があります。

内見で確認したい5つの点

1. 電気容量と分電盤の位置

飲食店の厨房機器、美容室のドライヤーやスチーマー、
焙煎機や工作機械のような専用設備を使う業種は、
一般的な住宅・小規模店舗の契約アンペア数では足りないことがあります。

容量が足りているかどうかは、間取り図には書かれていません。
分電盤(ブレーカーボックス)を実際に見せてもらい、
契約アンペア数と、自分が使いたい設備の消費電力を照らし合わせる必要があります。

先に確認すること:使う予定の設備をリストにしておき、内見時に分電盤の表示と
契約アンペア数を確認する。増設が必要そうな場合は、その場で概算の可否だけでも聞いておく。

2. 給排水と水回りの状態

飲食店・美容室・クリーニング店など、水を多く使う業種では、
水圧や排水の流れが営業に直結します。写真では蛇口があることは分かっても、
実際の水圧や、排水がスムーズに流れるかまでは分かりません。

飲食店の場合は、油を含む排水を処理するグリストラップの有無も、
内見時に確認しておきたい点です。設置されていない場合、
どこまで自分で用意する必要があるかが変わってきます。

先に確認すること:内見時に実際に蛇口をひねって水圧を見る。
排水口の位置と、グリストラップの有無を確認する。
飲食店として使う場合は、保健所への確認が別途必要になることもあわせて把握しておく。

3. 搬入経路と前面道路の状態

商品や食材、機材の搬入は、開業後は毎日発生する作業です。
前面道路の幅、トラックが横付けできるか、
店の入り口までに段差や階段がないかは、写真の構図からは判断しにくい部分です。

先に確認すること:実際に想定している搬入方法(台車、軽トラック、宅配便など)を
思い浮かべながら、店の前から入り口までの経路を歩いてみる。
段差や幅の狭さが気になる場合は、その場で寸法を測っておく。

4. 音・匂いが周囲にどう伝わるか

店舗兼住宅や、住宅街に近い立地の場合、
自分の営業が周囲にどう伝わるかは、内見の場でしか確かめようがありません。
換気扇や排気設備を実際に動かしてみる、隣接する建物との壁の厚みを確認する、
といった行動は、契約後ではなく内見の段階でしかできません。

隣接する建物が住居なのか、店舗なのか、
すでに何らかの営業音・匂いが出ている環境なのかによっても、
自分の営業がどう受け止められるかは変わってきます。

先に確認すること:可能であれば換気扇や水回りを実際に動かして音を確認する。
隣接する建物の用途(住居か店舗か)を、内見に付き添う担当者に確認しておく。
店舗兼住宅として使うかどうかで迷っている場合は、
店舗兼住宅のメリット・デメリットより先に、決めておきたい4つの軸
もあわせて確認してください。

5. 時間帯によって物件の印象が変わっていないか

内見は、不動産会社の営業時間内、多くの場合は日中に行われます。
しかし、自分の店が実際に営業する時間帯は、それとは限りません。
夜に営業する業態なら夜の人通りや街灯、
朝早くから仕込みをする業態なら朝の周辺の静けさが、
日中の内見だけでは分かりません。

先に確認すること:可能であれば、実際の営業時間帯に近い時間にもう一度、
物件の周辺だけでも見に行く。1回の内見だけで判断せず、
時間帯を変えた再訪ができないか、不動産会社に相談してみる。

5つをそのままチェックリストとして使う

内見の当日、そのまま持って行って確認してください。

  1. 分電盤を見て、契約アンペア数と使いたい設備の消費電力が合っているか
  2. 水圧と排水、飲食店の場合はグリストラップの有無を確認したか
  3. 搬入経路(前面道路の幅・段差)を実際に歩いて確認したか
  4. 換気扇や水回りを動かし、隣接する建物の用途を確認したか
  5. 内見の時間帯が、自分の実際の営業時間帯とずれていないか

「仕事場のある家」でできること・できないこと

No Work Lab には、住まいと仕事場を一緒に考える相談窓口として
仕事場のある家」という事業があります。
内見に何を持って行けばいいか分からない、確認した内容をどう判断すればいいか分からない、
という段階から相談を受け、対応できる提携先へおつなぎしています。

はっきりさせておきたいのは、No Work Lab 自身は内見に同行して物件を評価したり、
不動産仲介や賃貸借契約の締結を行ったりすることはないということです。

設備工事の可否判断や、電気・水道・保健所まわりの専門的な確認は、
提携する専門事業者や、業種によっては保健所・電気工事店など各窓口が担当します。

内見の前段階で、そもそも物件が市場に出てくる前で止まっている場合は
空き家・空き店舗が「使える場所」になる前に詰まる5か所
内見を終えて契約に進む段階では
店舗の賃貸借契約、サインする前に確認しておきたい5つの項目
もあわせて参考にしてください。

この記事のまとめ

店舗物件の内見は、間取り図や写真の答え合わせをする場ではありません。
それらには載らない、次の5つを現地で確認する場です。

  1. 電気容量と分電盤の位置
  2. 給排水と水回りの状態
  3. 搬入経路と前面道路の状態
  4. 音・匂いが周囲にどう伝わるか
  5. 時間帯によって物件の印象が変わっていないか

内見で何を確認すればいいか分からない、
あるいは住まいと仕事場を一緒に考える相談をしたいときは、
お問い合わせから相談を受け付けています。

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